心電図
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糖尿病患者の体表面心臓電位図に関する研究
―等電位線のひずみに関する定量的検討―
安宅 芳夫秋山 恭介坂東 重信中屋 豊河野 和弘浜井 一人森 博愛赤松 則男
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1984 年 4 巻 2 号 p. 157-164

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抄録

瞬時装着型精密電極群 (124電極) を具えた試作体表面心臓電位図計を用い, 糖尿病者における心筋障害について検討した。
対象は糖尿病者94例を用い, 高血圧合併群と高血圧非合併群に分類した。対照は正常成人35例を用いた。電位図分析はII誘導R波ピーク時における正電位領域の最大閉鎖ループについてフーリエ解析を行い, さらにフーリエ関数各成分を用いてひずみ率を算出させた。
糖尿病群は正常群に比べて, フーリエ関数各成分およびひずみ率において有意に高値を示し, 特に高血圧を合併する群において顕著であった。しかし, 加齢による影響は認めなかった。
本所見は糖尿病者における等電位線のひずみの強さを反映し, 興奮前面の不整を示唆している。電位図分析のこのような指標は, 糖尿病者の心筋異常の検出に有用と考えられた。

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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