抄録
Disopyramide phosphate投与によるH-V時間の延長傾向は, すでに数多く報告されている。しかし, His束から右脚にかけての伝導性に関しての, 詳細な検討はなされていない。
本研究は, 近接双極多極電極カテーテルを用いて, His束から右脚にかけての複数の刺激伝導系電位を記録し, disopyramide phosphate投与前後でH-V時間の詳細な検討を行った。
対象は心室内伝導障害のない31症例である。Disopyramide phosphate 100 mg静注後, H-V時間は有意な延長を示した。しかし, His束から右脚にかけての刺激伝導時間の遅延はごく僅かであり, H-V時間の延長は, 右脚末梢より右室心筋にかけての刺激伝導時間の遅延によるものと判明した。心房早期刺激法による機能的伝導遅延についても検討を行い, 洞調律時と同様, His束から右脚にかけての刺激伝導時間の遅延はほとんど認められなかった。
A-Vnode, His-Purkinje系の不応期についても測定したが, 有意差は認められなかった。