洞房結節は自動能をもった多数のペースメーカー細胞が電気的に結合されて一つの調律を形成しているが, 自動能をもった組織に閾下通電を行なうとその時相により周期長は修飾される.この原理にもとついて, 洞房結節片標本の中央部をouabainで灌流し, 両端のペースメーカー間のdissociationの状態からwashout後の同期に至る過程を詳細に検討した.その経過は1) 両者は完全に独立→2) 周期長は異なるが二つの自動能が影響し合う→3) 周期長は一致するが大きな遅れがある→4) 遅れの短縮という四期に分類された.特に2) の時期は両者の興奮が, 閾下通電と同じ効果で互いの周期長に影響し合い, 同期直前に最大となる大きな“ゆれ”として認められた.この現象は, 他の培養心筋やコンピューターシュミレーションでも再現されており, 二つの周期長の近い自動能組織間に共通してみられるものと考えられた.