心電図
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洞結節細胞における緩徐な内向き電流のCa2+依存性および電位依存性の不活性化からの回復
羽渕 義純野田 剛毅西村 昌雄渡部 良夫
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1987 年 7 巻 Suppl2 号 p. 9-15

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抄録

ウサギ洞結節の緩徐な内向き電流 (isi) の不活性化からの回復過程を二連パルス (P1, P2) を用いた電圧固定実験で検討した.標本のK+電流はnystatinによるCs+負荷で抑制した.50msec幅のP1の場合, P2に際してのisiは-40mVの膜電位で時定数84±25msecの速い回復を示し, P1幅を延長させると, P2に際してのisiの回復は時定数2sec程度の遅い回復相が加わることにより遅延した.次に-10mVと+20mVの二つのP1電位を比較すると, P2でのisiは速い回復相においてはP1-10mVの方が強く不活性化され, 逆に遅い回復相ではP1+20mVの方が不活性化は強かった.50msec幅のP1を用いて作製した不活性化曲線はisiの電流電圧曲線と同様なU字形を示し, 300msec幅P1を与えて500msec後に求めた不活性化曲線はf曲線に類似した.isiの速い回復はCa2+依存性の, 遅い回復は電位依存性の不活性化からの回復をそれぞれ表し, Ca2+依存性不活性化には定常状態のCa2+流入も関与していることが示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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