心電図
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洞不全症候群における心房ペーシング後の高度の心房停止について
木谷 文博清水 昭彦深谷 真彦橋場 邦武
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1987 年 7 巻 Suppl2 号 p. 25-29

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抄録

洞不全症候群 (SSS) 症例の中には, 心房ペーシング後に心室の補充収縮は出現するが, 洞性または逆行性P波の出現が遅れ, 最初のP波までの時間が20秒以上にも及ぶ例がある.本研究では, このような高度心房停止を認めた症例の電気生理学的所見について報告した.対象はSSS130例で, Rubenstein分類ではI群26例, II群44例, III群60例であった.心房ペーシング後の最大心房停止時間 (max AS) が20秒以上となったのは1群中には1例もなく, II群中の5例およびIII群中の2例の計7例 (5.4%) で, 最長は42.46秒であった.これらの7例においてmax ASが得られたペーシング頻度は130~210/分で, ペーシング後の第1拍目のP-P間隔がmax ASとなったのが5例, 第2拍目以降となったのが2例であった.高度心房停止の成立には, 洞結節自動能の抑制のみならず, ペーシング後の疲労現象によると思われる高度洞房ブロックと, 室房ブロックの存在が必要と思われた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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