心電図
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病的ヒト心房筋の自動能
木村 龍範今西 愿有田 真
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1987 年 7 巻 Suppl2 号 p. 68-71

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抄録

ヒト心房筋には正常Tyrode液下で自動性放電を示すものが約42%存在する.これらは周期長 (CL) によりType I (CL≧1.5秒) とType II (CL<1.5秒) に大別できる.Type Iはouabain (1μM) の添加や低Na+液による潅流で, 〔Ca2+iを増加させるとType II自動能に変化した (Type II') .Type I自動能はcaffeine (5~15mM) 添加により亢進したが, Type II, Type II'自動能は強く抑制された.また, 筋小胞体 (SR) からのCa2+放出を抑制するryanodine (1μM) は, Type II, Type II'自動能のみを強く抑制し, Type I自動能には影響しなかった.以上より, Type I自動能の歩調取り電位にはslow inward currentが, また, Type II, Type II'自動能の発生にはSRからの周期的Ca2+放出がそれぞれ強く関与していると推定される.一方, 術前の右房拡張の程度と摘出心房筋の示す自動能のCLとの間には有意な相関があり, 拡張の強い症例では術前digitalis剤投与がなくてもType II自動能を示した.また, 術前digitalis剤投与群での自動能は全てType IIを示した.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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