抄録
低電流のtrain刺激による心室細動誘発モデルを用い, Lidocaineの抗心室細動作用ならびに抗不整脈作用を雑種成犬14頭で検討した.
特に低電流のtrainpulseを与えた時に発生する細動に対するLidocaineの作用につき考察を加えた.Lidocaine投与により以下の結果を得た.細動閾値は対照の275.7±27.6μAから投与後469.3±64.2μA (p<0.01) と上昇した.心室不応期は対照の174.8±5.8msecから210.6±9.1msec (p<0.01) へと延長した.期外収縮後の不応期の延長の程度は更に著明であった.dip現象は7/8頭で消失し, 残る1頭もdip閾値の上昇をみた.Supernormal phaseは全例消失した.拡張期閾値は対照の271.1±39.5μAから336.6±38.2μA (p<0.05) と有意に上昇し, 期外収縮後の拡張期閾値も309.0±65.2μAから397.0±60.6μA (P<0.01) に上昇し, これ等諸要素がLidocaineの抗細動作用に関連していると思われた.