抄録
陳旧性前壁心筋梗塞症例男性31名において, 体表面電位図から求めたQ波開始後10, 20, 30, 40, 50, 60msecの電位およびQRS波の時間積分値 (AQRS) のそれぞれのdeparture mapと左室造影所見とを対比し, departure mapの臨床的有用性について検討した.対象を左室壁運動異常の部位により4群に分類した.各departuremapにおいて, 健常成人男性40名の (平均―2SD) 以下となる領域を―2SDareaとした.―2SDareaの出現時間および出現部位は各群に特徴的所見が認められ, 左室壁運動異常部位によく対応すると考えられた.また, それぞれの―2SDareaの面積と左室駆出率および左室壁運動異常の重症度の指標であるasynergy indexとを対比すると, AQRSの―2SDareaの面積が最も良好な相関 (r=-0.85, 0.54) を示した.QRS各瞬時の電位およびAQRSのdeparture mapにより, 前壁心筋梗塞の部位と広がりの推定が可能であり, departure mapの臨床的有用性が示唆された.