心室頻拍発生に至るリエントリー路の形成過程およびその規定因子を7日目心筋梗塞犬モデルで検討した.冠動脈左前下行枝結紮後7日が経過した犬では, 貫壁性梗塞表面を薄く覆う残存心筋が二次元的リエントリー形成のためのanatomical substrateを構成する.同部には洞調律時よりlate potentialやfragmented activityが記録され, 伝導遅延の存在が示唆された.この残存心筋層の有効不応期は梗塞中心部ほど延長し, 周辺部との間に不応期の不均一性を示した.心室早期刺激を加えると, 不応期不均一性を示す部位に沿って機能性一方向性ブロック領域が形成され, 興奮波はこの領域を迂回して旋回し, ブロック遠位部に遅れて到達した.この遅れがブロック近位部の不応期を上回ると同部の再興奮が生じ, リエントリー路が形成された.リエントリー持続中の種々の頻度の心室刺激によりresetting, concealed perpetuation, termination, reinitiation等が観察された.