心電図
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5. エントレインメント現象による慢性反復性心室性頻拍症発症機序の検討
奥村 謙松山 公士泰江 弘文Albert L. Waldo
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1989 年 9 巻 2 号 p. 189-194

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抄録

反復性心室性頻拍症 (VT) の発症機序を検討するためにVT中に心室ペーシングを行ないエントレインメント現象の観察を行なった.心筋梗塞に合併したVT9例 (I群) と左室起源の特発性VT4例 (II群) を対象とした.VTを誘発, 左室心内膜マッピングを行ない最早期興奮部位 (A) を検出後, VTより5~10拍/分速いレートでペーシングを行なった.I群では12の異なるVTが誘発され, そのうち11のVTでペーシング中に心電図上constant fusion beatsが, さらに8のVTではペーシングレートの増加にてprogressive fusionが観察された.II群では全例でconstant fusion, progressive fusionが観察された.エントレインメント中の伝導時間を解析すると, ペーシング部位よりA点までの伝導は著明に延長しており, その説明としてslow conduction部位を介する伝導が考えられた.I, II群ともにVTの機序はリエントリーで, その回路内にはslow conduction部位が存在することが強く示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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