抄録
本稿の目的は、デンマークの保育実践におけるカリキュラムテーマ「科学」に着目し、現地調査、インタビュー調査および文献調査を基に、STEAM教育と自然保育との関連性を明らかにすることである。現地調査とインタビュー調査は、3つの保育施設(公立2、私立1)で、それぞれの管理者を対象に実施した。インタビュー内容は、科学教育に関連する保育実践、STEAM教育の普及等についてである。調査の結果、デンマークの保育カリキュラムでは、数学を含む科学教育が明確に示され、すべての調査園で屋外や自然を活かした実験的な保育活動を確認することができた。特に、ほとんどの活動が、土、水、火、空気、動植物などの自然素材に関する内容であった。しかし、園長へのインタビュー調査からは、STEAM教育の概念や考え方は保育実践に浸透していないことが示唆された。教材研究の観点では、自然を活用した科学や数学に関する優れた事例や解説を確認することができた。デンマークの保育実践へのSTEAM教育の浸透は時間を要することが予測される一方で、すでに屋外や自然環境を活用した科学や数学的な活動が実践されている現状を踏まえると、STEAM教育と自然保育との関連性の高さが示唆された。