教育医学
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異なる要求値間の間欠的反復握力発揮における 力─時間特性と筋疲労の違い
山次 俊介出村 慎一内山 応信松田 茂樹松澤 甚三郎
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2005 年 51 巻 2 号 p. 193-201

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抄録

本研究では,最大握力(MVC)に基づく相対的要求値、つまり50%, 75%, および100% MVCを要求値として維持する方法を用いて,間欠的な反復的把握作業(IRG)による力—低下特性の違いと作業中もしくは作業後(回復期)における主観的筋疲労感(SMS)および血中乳酸濃度(La)との関係を検討することを目的とした.10名の若年男子が3種類の要求値による6分間のIRGを行った.最大握力値とLaは,IRG前,終了直後,終了4分後および7分後に測定された.前腕のSMSはIRG中と回復期に30秒ごとに測定した.平均発揮力量は,発揮開始後150秒まで50%MVCが75%MVCより小さかったが,270-300秒後は50%MVCが100%MVCより大きかった.30秒ごとの平均発揮力量とSMSの交互相関係数はいずれの要求値においても-0.89以上と非常に高かった.75%MVCと100%MVC要求値のIRG後のLaは50%MVCよりも高い傾向にあった.いずれの要求値においても,最大握力値とLaの回復率には有意差は認められなかった.結論として,IRGによる力—低下特性とIRG中のSMSは,要求値によって異なる.IRGにおいて50%MVC要求値の発揮力量は,要求値が定常状態の値に近いのでほとんど低下しない. 50%MVC以下の要求値は持久力テストとして有効ではないと考えられる.

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2005 日本教育医学会
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