日本環境感染学会誌
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肝炎を中心とした医療関連感染に対する意識調査
佐藤 法仁渡辺 朱理苔口 進
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2009 年 24 巻 1 号 p. 53-56

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抄録

  歯科医療行為の多くは,観血的処置を伴い,患者からの血液や体液の暴露の危険性が絶えず存在する.このような状況下において,感染防止に関する知識と技能は必要不可欠であり,これは歯科臨床実習を受けている学生に対しても同様である.
  今回,我々はより良い感染防止教育に寄与するため,歯科臨床実習を受けている歯学科学生109名(大学生),歯科衛生士学校生161名(専門学校生),合計270名に対して「肝炎を中心とした医療関連感染に対する意識調査」を行った.
  その結果,「B型肝炎について」,「C型肝炎について」,「肝炎ウイルスについて」,「肝臓癌の原因のひとつであること」,「血液感染すること」,「唾液中に肝炎ウイルスが含まれていること」,「歯科医療で肝炎ウイルスに感染するリスクがあること」に関しては,歯学科学生,歯科衛生士学校生共に正しい知識を持つ者が多かったが,「肝炎ウイルスを持つ人の診療で使用したゴム手袋は76.9~81.4 v/v%エタノールで消毒すれば再利用してもよいか」では,歯科衛生士学校生72名(44.7%)が「再利用してもよい」と回答しており,ゴム手袋の適正使用に関する感染防止教育の必要性を認めた.
  今後,医療関連感染原因微生物に対する正しい知識を有しているかの調査などを行い,感染防止のきめ細かい講義と実習を臨床実習前に徹底して行う必要があると考える.また,歯科臨床実習先である病院や歯科医院に対しても,最新かつ正確な感染防止情報を提供するシステムなどを構築する必要もあると考える.

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© 2009 一般社団法人 日本環境感染学会
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