日本環境感染学会誌
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短報
手術部位感染の比較における新たなリスク調整検定法
吉田 順一湯川 順子松原 伸夫
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2009 年 24 巻 2 号 p. 106-108

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抄録
  手術部位感染(SSI)を比較する場合,リスクを調整した標準化感染比(SIR)が指標となる.米国疾病予防管理センター(CDC)の公開ソフトウェア等でSIRを検定し,SSIを比較する方法を提言する.
  観測SSI数(SSI観測)を予測SSI数(SSI予測)と比較する際,リスク度の総和であるRisk Index Category (総リスク度)にて調整する.SIR=SSI観測/SSI予測にて,分母SSI予測は当該術式の総リスク度別にSSI割合(%)を0.01倍し,全例に合計する.比の検定は二項分布をz変換して正規分布に近似させるが,近似上の問題により目安として,(観測数)×(予測確率)=SSI予測≧5または<5により2分することが勧められる.
  SSI予測≧5の場合はz検定を行い,ExcelTMにてp値を容易に得られる.SSI予測<5の場合は二項検定またはPoisson検定を行い,共にCDCの無償ソフトウェアEpi InfoTM 6が日本語コンピュータも容易に使用できる.
  なお総リスク度毎に検定を繰り返す多重検定は,第1種過誤(帰無仮説を“正しいのに棄てる過誤”)となりえるが,これは上記の一括的な検定で補える.
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© 2009 一般社団法人 日本環境感染学会
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