日本環境感染学会誌
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報告
新しい湿潤剤を配合した速乾性手指消毒薬の抗菌効果ならびに保湿効果
尾家 重治神谷 晃
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2009 年 24 巻 4 号 p. 260-263

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抄録
  新しい湿潤剤である2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体(MPCポリマー)を配合した速乾性手指消毒薬が発売された.そこで,このMPCポリマー配合製剤の抗菌効果および保湿効果について,他の4製品の速乾性手指消毒薬と比較検討した.
  MPCポリマー配合の液剤およびゲル化剤はいずれも,比較した速乾性手指消毒薬の4製品(液剤の計2製品,ゲル化剤の計2製品)と同様に,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や多剤耐性緑膿菌などの8種類の細菌をすべて15秒以内に殺滅した.一方,これらの計6剤の速乾性手指消毒薬を5回/日の5日間連続使用して,手指皮膚の角層水分量に及ぼす影響について検討した.その結果,角質水分量が比較した4製品では減少したものの,MPCポリマー配合製剤では増加した.すなわち,MPCポリマー配合製剤は手荒れを生じさせにくい製品であることが判明した.
  MPCポリマー配合製剤は,すぐれた抗菌効果のみならず,良好な保湿効果を示す製品であることが判明した.
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© 2009 一般社団法人 日本環境感染学会
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