日本環境感染学会誌
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報告
NICUにおける手指衛生遵守率向上に向けて
~ビデオを使用した手指衛生の適切なタイミングの評価~
青木 雅子北川 洋子
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2013 年 28 巻 2 号 p. 97-100

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抄録
  新生児は医療従事者の手指を介して微生物を獲得する危険性が高いため,当院のNICUでは手指衛生実施後に未滅菌手袋を着用し,接触予防策も導入してきた.今回,医師と看護師が処置やケアの場面において適切なタイミングで手指衛生が実施できているのか,ビデオ撮影し,「医療現場における手指衛生のためのCDCガイドライン」と「WHO医療施設における手指衛生ガイドライン」の「手指衛生の5つのタイミング」に基づいた観察フォームを使用し,実態調査を行った.その結果,手指衛生が適切に実施されているタイミングと実施されていないタイミングが明確になった.遵守率の低いタイミングは,汚染部位から清潔部位に移る時23.1%,体液曝露後33.3%であった.新生児の唾液や外陰部に対するスタッフの認識が成人とは異なることが考えられた.また,清潔操作前も41.2%と低く,気管内吸引や点滴管理などの処置が,保育器内での操作が多いこと,また安全管理の側面からの問題が考えられた.手指衛生の遵守率向上に向けて安全性と感染防止を組み合わせた一連の処置・ケアの流れと対策が示唆された.
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© 2013 一般社団法人 日本環境感染学会
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