日本環境感染学会誌
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報告
菌種を限定しないリアルタイムアウトブレイク監視およびラウンド記録管理のシステム化
池ヶ谷 佳寿子加瀬澤 友梨土屋 憲濱田 敦子難波 真奈美明貝 路子小路 毅丸尾 啓敏増田 昌文
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2013 年 28 巻 2 号 p. 101-108

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抄録
  医療関連感染の発生を減少させるために,サーベイランスの実施は重要である.これまでの当院のサーベイランスは,アウトブレイク監視のためのデータ収集および統計解析に膨大な労力を要していた.また,1) 週,月単位の解析のためにアウトブレイク探知が遅れる,2) 月をまたいだ菌の増加に気づきにくい,3) 監視対象以外の菌種の増加に気づきにくい,4) 他部署での異常な菌の増加を知る術がない,5) 感染対策実施内容を院内で共有できない,などいくつかの問題点もあった.これらを改善すべく2010年に導入した感染管理支援システム内に菌種を限定しないリアルタイムアウトブレイク監視とラウンド記録管理機能を構築した.アウトブレイク監視対象菌種やアウトブレイク探知方法を見直したことにより,院内で発生している状況を正確かつリアルタイムに把握し,周知することが可能となった.また,感染対策実施内容を記載したラウンド記録の管理機能により,病院全体で過去の事例を参考とした感染対策を実行できている.今後さらに現在のシステムを成熟させ,より充実した感染対策を目指していこうと考えている.
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© 2013 一般社団法人 日本環境感染学会
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