日本環境感染学会誌
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原著
成人型ケアシミュレーターと疑似泥状便を用いた陰部ケア方法の評価
土田 敏恵濵元 佳江荻野 待子
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2018 年 33 巻 1 号 p. 24-36

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抄録

擬似便の除去と拡散防止に有効な陰部ケア方法を明らかにすることを目的に準実験研究を行った.対象は臨床の看護師・介護職者15名で,蛍光塗料含有擬似泥状便をセットされた男性陰部モデル付き人形に対し,全国調査で最も多かった洗浄方法である一般法・テキストから考案された洗浄法・泡状洗浄料による清拭のみを行う清拭法・撥水性オイルを予め人形に散布し清拭布による清拭を行う撥水処理後清拭法の4法を実施した.評価方法は,ケア実施者・実験人形・周囲環境・使用物品への擬似便の付着の有無と面積について統計学的に比較した.一般法と洗浄法では実験人形の会陰部における擬似便の残留面積は小さいものの,大転子部では付着(p=0.001,8名 調整済み残差値(AR)2.3)と面積(最大180 cm2 p=0.002)が大きかった.シーツへの擬似便の付着は,一般法において多く(12名AR4.0),清拭法と撥水処理後清拭法では少なかった(1名AR-2.8)(p<0.001).洗浄用ボトルへの擬似便の付着は,一般法に多く(一般法7名p=0.016)面積が大きかった(p=0.008).また撥水処理後清拭法では,装着していた尿とりパッドによる拭き取りで2/3以上の便を清拭前に除去できた(p<0.001,14名AR3.9).以上より,撥水処理後清拭法は容易に便を除去し実験人形と周囲環境への擬似便の拡散を減少させた.

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© 2018 一般社団法人 日本環境感染学会
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