2022 年 37 巻 5 号 p. 210-215
中小病院で実践する抗真菌薬適正使用支援(Antifungal Stewardship:AFS)の有用性とAFSの介入ポイントについて検討した.2016年4月~2020年3月の期間に血液培養よりCandida spp.が検出された入院患者を2016~2017年度(介入前群),2018~2019年度(介入後群)に割付けし,AFS前後における患者アウトカムの変化について比較検討を行った.対象例は介入前群28例,介入後群23例の全51例,除外症例は4例であった.30日死亡率は,介入前群39.3%,介入後群39.1%で有意差は認められなかった.抗真菌薬の変更割合(種類)は,介入前群7.1%から介入後群44.0%と有意な増加を示した(p<0.05).また30日死亡に対する多変量ロジスティック回帰分析において,血液培養陽性から72時間以内の適正抗真菌薬の投与,Candida glabrataの分離が死亡リスク低下因子であることが示された(p<0.05).これら結果より,Candida菌株を早期に同定し,適正な抗真菌薬治療を早期に開始することが,重点的介入ポイントであることが示された.多くの中小病院では,これら役割を担うのは薬剤師であり,主導的関わりが重要である.