2024 年 39 巻 4 号 p. 117-125
本研究はAST発足後の血液培養陽性症例を対象とし,抗菌薬適正使用支援チームの推奨が受諾されたか否かで2群に分け,2群間の推奨内容,患者背景および総死亡の比較を目的に実施した.
2020年1月から1年間で血液培養陽性となった成人の入院患者96人を対象とした.調査項目は年齢,性別,診療科,入院期間,既往歴,併存疾患,抗菌薬の種類と投与期間,対象疾患,血液培養採取日,培養結果,SOFAスコア,糖尿病の有無,人工物挿入の有無,eGFR,推奨内容,推奨数,受け入れ状況,転帰とし,推奨受諾の有無で「受諾群」,「非受諾群」の2群に分け,血液培養陽性から30日後までの時間を生存時間解析で比較した.
受諾群が67人,非受諾群が29人であった.De-escalationが推奨受諾の約半数を占めた.年齢,性別,人工物挿入,糖尿病の有無,SOFAスコア,eGFR,推奨内容,30日死亡は両群で差を認めなかった.抗菌薬投与日数は受諾群で有意に延長した(p=0.004).血液培養陽性から30日後までの生存期間は両群で差を認めなかった(p=0.31).
両群間での生存期間の差がなかった要因として,症例数が少ないこと,両群間に偏りがあることが挙げられる.今後,症例数を増やし,多変量解析を用いた検討が必要である.