日本環境感染学会誌
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原著
教育理論ARCSモデルを用いた高齢者介護施設職員に対する手指衛生教育効果の検証
笹嶋 純子丸山 良子
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2025 年 40 巻 3 号 p. 134-141

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抄録

手指衛生は,感染拡大を予防するための重要な手段である.この度のCOVID-19感染禍で高齢者介護施設において感染拡大が報告された.手指衛生遵守状況改善には手指衛生教育が必須であることから,本研究は介護職員に特化した教育の効果を検証することを目的とした.2022年8~9月,北関東の高齢者介護施設4施設の介護職員を対象に,学習の動機づけの手段であるARCSモデルを活用した教育を行い,教育前後の知識確認調査と手指衛生遵守率を比較した.知識確認調査の点数は,研修前15.0±2.6点,研修後18.8±1.0点で研修後の点数が有意に上昇した(p<.001).手指衛生遵守率は「入所者に接触する前」「清潔/無菌操作の前」の遵守率に研修前後で差はなかったが,「体液曝露リスクの後」「入所者に接触した後」「入所者周辺の物品に触れた後」「手袋の使用後」の遵守率は研修後に上昇した.教育理論を取り入れた研修の構成は,対象者の学歴,実務経験年数などの属性に関係なく教育効果をもたらす可能性を示した.「入所者に触れる前」「清潔/無菌操作の前」の手洗いの必要性を認識できる教育の重要性が示唆された.

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© 2025 一般社団法人 日本環境感染学会
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