2025 年 40 巻 3 号 p. 128-133
多床室において新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)患者が発生した場合の,同室者における二次感染の発生状況とその要因を検討することを目的に調査した.2021年8月から2022年9月に当院で発生したCOVID-19クラスターにおけるCOVID-19患者の同室者を対象とし,同室者の背景因子と陽性化との関連性について統計学的解析を行った.
対象となる同室者は計74名であり,そのうち23名(31.1%)が陽性化した.年齢の中央値は70.0歳,男性53名(71.6%),女性21名(28.4%)であった.そのうち男性は20名(37.7%),女性は3名(14.3%)が陽性化しており,男性の方が陽性化率が高い傾向があった(p=0.057).また,初発患者との同室期間の中央値(日)は,陽性化群3.5日(0.5-6.0),非陽性化群2.0日(0.5-4.5)であり,陽性化群の方が初発患者との同室期間が長かった(p<0.05).主病名,糖尿病/HbA1c≧6.5,ステロイドの使用,免疫抑制薬/抗癌剤の使用,透析の有無,ベッド位置関係で陽性化群と非陽性化群に差は無かった.
陽性化群は初発患者との同室期間が有意に長かった.症状出現時の速やかな検査により,陽性者と同室者を早期に隔離することが,多床室での感染リスクを低減させる可能性があることが示唆された.