日本環境感染学会誌
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多様化する我が国のダニ媒介感染症
岩﨑 博道
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2025 年 40 巻 4 号 p. 159-163

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抄録

近年,ダニが媒介する新規ウイルス感染症の症例確認が相次ぎ,ダニ媒介脳炎,エゾウイルス感染症,オズウイルス感染症等が報告されている.国内での発症報告は少ないが,病原体を媒介するマダニの生息域は温暖化による野生動物の分布変化にともなって,今後,感染拡大が懸念される.一方,マダニに比べると微小なツツガムシが媒介するリケッチア症のつつが虫病においても新たな血清型(Shimokoshi型)の感染が確認された.

我が国で発生頻度の高いダニ媒介感染症には,つつが虫病,日本紅斑熱および重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)があり,日本紅斑熱とSFTSは近年増加が著しい.つつが虫病と日本紅斑熱の原因病原体はリケッチアでありテトラサイクリン系薬が有効である.他方,ウイルス感染症のSFTSに対しては2024年にファビピラビルが治療薬として承認された.つつが虫病と日本紅斑熱の臨床症状は,発熱・皮疹・刺し口の3主徴が共通し極めて類似するが,テトラサイクリン系薬を投与した場合,つつが虫病は早期に軽快するのに対して,日本紅斑熱は回復に時間を要することも多い.SFTSは発熱を呈するが,皮疹や刺し口は目立たないことや,血液検査でCRPの上昇をほとんど認めないことがリケッチア症との鑑別点となる.

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