環境感染
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MRSA (本学病院臨床分離株) に認められたプラスミド分子種とその病棟間分布
田邊 忠夫有働 武三
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1995 年 10 巻 2 号 p. 18-22

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抄録
院内疫学的調査を目的として, 本学病院臨床各科病棟 (入院患者) 由来MRSA200菌株につきプラスミドDNAのスクリーニングを行い, 他の若干の性状とともに考察を加えた.
その結果, プラスミド非保有菌として37菌株 (18.5%) を認める一方で, 0.9~約40kbのサイズの異なる10種類のプラスミド分子種が確認された. このうちもっとも大きなサイズ (pCL4) と, もっとも小さなサイズ (pCS1) のプラスミドは本学病院内で高頻度に検出される分子種であった. これらのプラスミド保有菌株の病棟別分布をみると, 病棟によっては (たとえばNICUおよび小児科) 病棟環境に依存した特徴的な分布状況を確認することができたが, 多くの病棟では病棟間での伝播あるいは菌株間でのプラスミドの授受の進行を示唆する多様なプラスミドパターンがみられた. さらに, 特定のプラスミドとそれを保有する菌株の示す薬剤耐性に密接な関係を認める例も判明した.
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© 日本環境感染学会
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