環境感染
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新規擦式フォーム状消毒剤IW-051の臨床的有用性
中塩 哲氏山口 晋柳川 忠二清藤 啓之小笹 貴夫萩原 優田中 圭一山村 卓也木村 正之
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1995 年 10 巻 2 号 p. 23-30

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抄録

病院内感染の防止にあたり医療従事者・患者の手指消毒はきわめて重要である. しかし, 頻回の消毒剤使用に伴う手荒れ等の副作用も臨床現場では大きな問題となっている. 今回新たに開発された消毒剤IW-051 (岩城製薬) は0.2% (W/V) 塩化ベンザルコニウムを含有するフォーム状擦式消毒剤であるが, これを用いて医師45名, 看護婦57名を対象に4週間にわたって日常臨床現場において手指消毒を実施し, パームスタンプ法によりその消毒効果, 安全性を検討した.
IW-051による消毒で手掌表面から検出される総菌数は減少し, 減菌率は良好であった. 菌種別にはBacillus属, 真菌および皮膚常在性のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌, コリネバクテリウム属菌を除くほとんどの菌種が完全に除菌された. 4週間の連続使用で鞍裂・発赤等の副作用は102例中わずか4例 (3.9%) にとどまった.
以上のことからIW-051は消毒効果, 安全性に優れ, さらに日常臨床現場において使いやすいことから, 有用性の高い擦式フォーム状消毒剤であると考えられた.

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© 日本環境感染学会
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