抄録
グラム陰性菌に対するPVP-I (ポビドンヨード) 液, CHG (グルコン酸クロルヘキシジン) 液, BAC (塩化ベンザルコニウム) 液およびAEG (塩酸アルキルジアミノエチルグリシン) 液のin vitroでの有効性を, 既に報告した新しい評価方法により検討した.被検菌として臨床由来のPseudomonas aeyuginosa20株, Seyyatia maycescens20株, Burkhorderia cepacia10株, Escheyichia coli10株およびKlebsiella pneumoniae10株を供試した.
(1) P.aeyuganosaに対して, 常用濃度のPVP-I, BACおよびAEGは供試した全ての菌株を0.5分で殺菌したが, CHGでは0.5%においても3分程度の時間を要する株が認められた.
(2) S.mamscensはPVP-IおよびAEGに強い感受性を示したが, CHGやBACには抵抗性を示す株が認められた.
(3) B.cepaciaはPVP-Iに感受性で, BACおよびAEGの低濃度 (0.05%) で抵抗性を示す株が存在した.CHGではほとんどの株が耐性であった.
(4) E.coliおよびK.pneumoniaeは供試した全ての消毒剤に感受性であった.
(5) P.aeyuginosaおよびB.cepacia各1株を用い, テフロン片上に形成させたバイオフィルム中の菌に対する殺菌効果を調べた.PVP-Iでは10分以内に完全な殺菌効果が認められたが, CHG, BACおよびAEGでは60分後においても菌数の減少を認めなかった.