環境感染
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香料添加消毒用エタノールと消毒用エタノールの使用感と残存性の比較検討
木津 純子巨勢 典子小林 洋一
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2005 年 20 巻 1 号 p. 44-50

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抄録
日局消毒用エタノールおよび香料添加消毒用エタノールをそれぞれ日局脱脂綿に含浸させた製剤を用い, 両薬剤の使用感と残存性を比較検討した.(1) 室温放置の質量測定で, 両製剤の残存性に差は認めなかった.(2) 医療器具 (ステンレスバット・プラスチックバット・輸液バック・ガラス輸液ボトル) の清拭について, 両薬剤を無作為に割付けた官能検査により, 外観への影響・べたつき感について清拭者, 直後の評価者, 60秒後の評価者とも両薬剤に有意差は認めなかった. 臭いの強さについては清拭者および60秒後の評価者においては差を認めなかったが, 直後の評価者における輸液バックとガラス輸液ボトル清拭直後の評価のみ, 香料添加消毒用エタノールの方が有意に強かった.(3) 皮膚消毒について, 両薬剤を無作為に割付けた官能検査により, 清拭者, 被清拭者とも清拭中の臭いの強さ, 10秒後の臭いの強さ, 臭いの好みにおいて差は認めなかった.(4) 手指消毒における使用感についてアンケート調査を実施した結果, 医療従事者は使用中の臭い, 10秒後の臭い, 臭いに関する好みに関して差を認めず, また職種による差も認めなかった. 学生では使用中および10秒後の臭いで香料添加消毒用エタノールの方に臭いを強く感じた者が多かったが, 臭いの好みには差を認めず, また性差も認めなかった.
従って, 両薬剤の使用感・残存性について大きな差はなく, 香料添加消毒用エタノールは消毒用エタノールの代替として使用し得ることが示唆された.
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© 日本環境感染学会
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