抄録
閾値下うつは、抑うつ症状を有するが大うつ病性障害の診断基準を満たさない状態と定義され、12歳から20歳にかけて増加し、特に思春期後期の閾値下うつは大うつ病性障害発症へのリスク要因となる。また、大うつ病性障害と同様に内側前頭前野や報酬系に器質・機能的な変異を抱えていることも報告されている。
本稿では、大うつ病性障害発症の危険因子と考えられている閾値下うつに焦点をあて、閾値下うつが抱える中核的問題であると考えられている自己評価にかかる過程と、報酬学習にかかる過程、それらに関連した神経基盤の変異を大うつ病性障害と比較しながら説明する。
次に、閾値下うつへの効果的な介入法である行動活性化の①. 日常生活の中で正の強化子を伴う健康的な行動の頻度を増やすことによる報酬とそれに基づく学習にかかる過程の改善を介した抑うつ症状の低減、②. 日々の活動を観察し客観的に評価することによるメタ認知の向上と、それを介した抑うつ症状の改善の2つの治療機序について述べる。
最後に、精神疾患に対する先進的な介入法の一つであるヨガの閾値下うつに対する介入効果の可能性について先行研究を踏まえながら論じるとともに、その具体的な治療機序についてdynamic and static modelの観点から考察する。