予防精神医学
Online ISSN : 2433-4499
5 巻, 1 号
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  • 鹿島 晴雄
    2021 年 5 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 道雄
    2021 年 5 巻 1 号 p. 3-4
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
  • 川﨑 康弘
    2021 年 5 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
  • 針間 博彦
    2021 年 5 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    psychosis概念の歴史と現状を概説し、現在の用法と日本語訳の問題について論じる。この語は19世紀半ばにvon Feuchterslebenによって、当時神経系の疾患全般を示したneurosisのうち精神症状を呈する病態を指すものとして導入された。19世紀後半以降、neurosisが心因性・非器質性の障害を示すようになると、psychosisは非心因性・疾患性の精神症候群を示すものとして用いられるようになり、neurosisとpsychosisは対概念となった。DSMとICDにおける精神科分類はpsychosisとneurosisの二分法に基づいて始まり、その区別は精神機能の障害の重症度に基づくものだった。1980年に発表されたDSM-IIIでは、この二分法は廃止され、psychoticという形容詞は幻覚や妄想など特定の精神症状の存在を示す記述用語として用いられることになった。こうした変化はICD-10に取り込まれ、現在のDSM-5、ICD-11に受け継がれている。DSM-IIIでいったん破棄されたpsychosisという名詞は、近年の早期介入および超ハイリスク群研究の流れの中で、新たに状態像診断として頻用されるようになり、DSM-5ではこの動きが取り込まれ、attenuated psychosis syndromeが今後のカテゴリー案として挙げられている。特定の症状の存在によって規定される現在のpsychosis概念は、成因論的には異種混合である。psychosisは「疾患」や「疾患単位」を意味せず、症状(群)の存在を示すにすぎないことから、日本精神神経学会はその日本語訳を従来の「精神病」から「精神症」に変更することを提案している。psychosisとその訳語を用いる際は、こうした現在の用法と問題に留意する必要がある。
  • 高柳 陽一郎
    2021 年 5 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    Psychosis(精神病)の脳形態研究は統合失調症を対象とした検討が数多くなされており、早期の神経発達の偏倚を示唆する所見、前頭・側頭・傍辺縁系の灰白質体積や皮質厚の減少、主に側頭葉構造で見られる進行性の体積減少などが知られている。統合失調感情障害や精神病症状を伴う気分障害などその他のpsychosisでは、統合失調症とオーバーラップする脳形態変化が報告されている。一方でこのような脳形態変化の一部は臨床・症候学的異種性や抗精神病薬の使用に影響されているかもしれない。脳形態画像を用いて臨床的・遺伝的ハイリスク群におけるPsychosis発症の予測を試みる研究が進められており、このような取り組みが早期診断や早期介入に寄与する可能性がある。
  • 松本 和紀
    2021 年 5 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    本論では、psychosisの概念の心理的側面に関連するいくつかの話題を紹介する。統合失調症という用語を創出したE.Bleulerは統合失調症を症候群のように捉えていた。彼は、統合失調症の症状を、疾患過程から直接生じる症状と、疾患過程に対する心理的な反応として生じる二次性の症状とを区別しており、幻聴や妄想を含む統合失調症の症状の多くは二次性の症状として捉えていた。現代のpsychosisの認知行動モデルの多くは、生物-心理-社会的な要因によって引き起こされる精神病性の体験をどのように評定・解釈するかが陽性症状の出現や持続に対し決定的な役割を果たすと想定しており、当事者の苦痛や機能低下を引き起こす評定・解釈に働きかける介入が治療効果に結びつくと考えている。また、psychosisに対する早期介入においては、心理社会的な側面を含めた包括的な評価に基づいて治療や支援を行うボトムアップ的なアプローチが大切だと考えられている。統合失調症を含めたpsychosisは、生物学的要因のみならず、心理社会的要因の影響を受けて経過の軌跡が変化する異種性の高い病態の集まりであることを示唆する知見は増えており、こうした知見を統合するモデルを必要としている。
  • 平野 好幸
    2021 年 5 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    近年、強迫症や不安症の治療の選択肢として認知行動療法(cognitive behavioral therapy:CBT)が注目されている。CBTは患者の認知や行動をより適応的なものへと変容させていくことを援助する治療法であり、社交不安症や強迫症などに対して選択的セロトニン再取り込み阻害薬などによる薬物療法に劣らない治療効果を発揮することがわかっている。また、薬物療法との併用療法で高い寛解率を示すことなどから、その作用機序は薬物療法と異なると考えられている。認知行動療法の治療者の養成事業が各所で進められているが、CBTを十分に提供できる医療機関や治療者の数は依然として限られている。これらを背景としてCBTの作用機序の解明や治療反応性予測の必要性が高まっていることから、脳画像的アプローチによる研究が数多く進められている。これまでに我々は強迫症患者の脳の灰白質容積の検討から、左背外側前頭前皮質の灰白質容積の減少がCBTの治療抵抗性に関与していることを報告したが、近年は安静時脳機能結合などのアプローチも進められている。現在行われている大規模な国際的な多施設共同研究により、CBTによる治療効果の脳科学的解明が進むことで、治療法の改良や治療選択に役立つ指標の開発に役立つ可能性がある。
  • 塩田 翔一
    2021 年 5 巻 1 号 p. 41-52
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    閾値下うつは、抑うつ症状を有するが大うつ病性障害の診断基準を満たさない状態と定義され、12歳から20歳にかけて増加し、特に思春期後期の閾値下うつは大うつ病性障害発症へのリスク要因となる。また、大うつ病性障害と同様に内側前頭前野や報酬系に器質・機能的な変異を抱えていることも報告されている。 本稿では、大うつ病性障害発症の危険因子と考えられている閾値下うつに焦点をあて、閾値下うつが抱える中核的問題であると考えられている自己評価にかかる過程と、報酬学習にかかる過程、それらに関連した神経基盤の変異を大うつ病性障害と比較しながら説明する。 次に、閾値下うつへの効果的な介入法である行動活性化の①. 日常生活の中で正の強化子を伴う健康的な行動の頻度を増やすことによる報酬とそれに基づく学習にかかる過程の改善を介した抑うつ症状の低減、②. 日々の活動を観察し客観的に評価することによるメタ認知の向上と、それを介した抑うつ症状の改善の2つの治療機序について述べる。 最後に、精神疾患に対する先進的な介入法の一つであるヨガの閾値下うつに対する介入効果の可能性について先行研究を踏まえながら論じるとともに、その具体的な治療機序についてdynamic and static modelの観点から考察する。
  • 関﨑 亮
    2021 年 5 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    中央教育審議会答申で子どものメンタルヘルスの課題が顕在化していることが指摘され、事実、疾病負荷を示すDALYs値は、15歳から30歳において男女ともに低いものの、精神疾患が大部分を占めている。このような状況を受け、新学習指導要領では保健教育として精神疾患の理解教育が含まれることが決まった。他方、保健管理では、就学時の健康診断を義務付けているが、検査項目に精神状態は含まれておらず、また、学校医の多くは精神科医ではない。父母を含む一般人口のメンタルへルスリテラシーが十分でない中で、学校保健において重要になるのは、精神保健、精神疾患、精神科医療などに関する情報をいかに取り入れ、伝え、そして、連携を図るかである。一方、米国においては、このような問題に対して遠隔精神医療を用いた取り組みが活発化している。 筆者らは、これらを参考に、本邦にある学校と児童精神科医などの専門スタッフをインターネットを用いて繋ぎ、オンライン健康相談を提供するWelcome to talkというサービスを展開している。 オンライン健康相談は、インターネット環境があれば、いつでもどこでも受けることを可能にし、加えて、教員の働き方改革が叫ばれる中で、必要なときに専門スタッフが学校と協力して子どもに寄り添うことができる。 ここでは、子どもたちを取り巻く環境を諸家の知見を交えながら概観し、子どもたちがより健やかに成長できる社会について考えていきたい。
  • 欠ノ下 郁子, 植田 誠治
    2021 年 5 巻 1 号 p. 62-75
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    【背景】近年、若い世代の精神疾患患者数が増加しており、精神疾患の好発年齢に当たる児童生徒の早期介入の重要性が高まっている。しかし、児童生徒が生活する学校現場における早期介入には、いくつか課題が報告されている。したがって、早期介入を実現するためには、児童生徒の健康管理を行っている養護教諭と精神科医療機関との連携・協働が求められている。 【目的】精神疾患のある児童生徒の早期介入に関する養護教諭の認識と障壁の実態を明らかにすることである。 【方法】無作為に抽出された全国の公立小・中・高等学校に勤務する養護教諭を対象として、自記式質問紙による調査を行った。調査内容は、DUP(Duration of Untreated Psychosis:精神病未治療期間)の認知、早期受診の利点と欠点、早期受診に対する障壁とした。 【結果】DUPを知っていると回答した割合は4.6%であった。早期受診の利点は「精神症状で苦しい時期が短くなる」が83.6%、早期受診の欠点は「向精神薬の副作用の出現」が37.0%、早期受診に対する障壁は「思春期の特徴の複雑さ」が80.5%と一番多かった。 【結論】養護教諭は、早期受診の障壁を「思春期の特徴の複雑さ」や「学級担任の知識不足」と認識していることが明らかになった。今後学校現場において早期介入を実現するためには、精神疾患の正しい知識と早期介入の意義と限界を教員全体に情報提供する機会や養護教諭と精神科医療機関との連携の在り方を検討することが重要であると示唆を得た。
  • 臼倉 瞳, 東海林 渉, 千葉 柊作, 片柳 光昭, 荒井 祐子, 國井 陽子, 山本 弘樹, 梶山 征央, 山口 美峰子, 松本 和紀
    2021 年 5 巻 1 号 p. 76-86
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    本研究では、独居高齢者の精神的健康の維持・向上を支援するツールの開発を目指し、ICTを介して認知行動的アプローチを提供する健康増進支援プログラムの実施可能性に関する予備的検討を行った。独居高齢者10名を対象に、スマートデバイスとして、オープンプラットフォーム「PaPeRoⓇ」(日本電気株式会社/以下、本ロボットとする)、タブレット、スマートフォンを用いて、活動記録、セルフモニタリング、行動活性化、健康に関する情報提供機能を含むプログラム「けんこう増進システム」を4週間提供した。 その結果、9名がプログラムを完遂し、有害事象も認めなかったが、介入前後で心理指標に有意な変化はなかった。研究参加者からは、プログラム内容や本ロボットの使用への肯定的評価がある一方で、プログラム内容、システムの安定性、デバイスの操作性に改善も求められた。 本プログラムは独居高齢者に安全に実施可能であると考えられたが、介入効果は明らかではなかった。本研究は予備的検討であり、今後は、本結果を踏まえ、ICTと認知行動的アプローチを組み合わせたプログラムについてさらに改良する必要がある。
  • 樋口 悠子, 高橋 努, 笹林 大樹, 西山 志満子, 鈴木 道雄
    2021 年 5 巻 1 号 p. 87-96
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    自閉スペクトラム症 (autism spectrum disorder; ASD) に統合失調症が併存する割合については様々な報告があるが、ASDでは統合失調症に類似した症状がみられることがあり、時に鑑別が困難な症例を経験する。われわれは神経発達症を背景に精神病発症リスク状態を経て統合失調症を発症した症例を経験したので報告する。症例は10代男性。乳幼児期に発達の遅れがみられ、4歳時に小児科でASD、注意欠陥多動症の特性を指摘され小学4年まで同小児科に通院した。小学5年時より、考えが人に見透かされている感じや盗聴されている感じなどが出現した。成績低下や不登校に加え、不潔恐怖や希死念慮もみられ、中学2年時に当院を受診し、精神病発症リスク状態の基準を満たした。間もなく自生思考や持続性の幻覚妄想が生じ、統合失調症と診断された。精神病症状の顕在化に先立ち測定したmismatch negativity (MMN)では、持続長MMN(duration MMN; dMMN) の振幅低下と周波数MMN (frequency MMN; fMMN)の潜時延長を認めた。各々統合失調症とASDの特徴を表しており、本患者の疾患素因の反映と考えられた。MMNは統合失調症の生物学的マーカーとして早期診断への応用が期待されているが、本症例の結果より、MMNがASD症例における統合失調症の併存リスク評価にも有用である可能性が示唆された。
  • 土屋 麻衣子, 谷 元子, 金原 明子, 松岡 潤, 澤田 欣吾, 越山 太輔, 森田 健太郎, 市川 絵梨子, 多田 真理子, 里村 嘉弘 ...
    2021 年 5 巻 1 号 p. 97-107
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    【目的】精神疾患をもつ人の早期支援において、微弱な精神病体験は、精神病発症のみならず後の精神的不調との関連が指摘されることから、正確に評価される必要がある。しかし、一般の医療現場や教育現場におけるスクリーニングテストのような簡易な評価の意義は十分に検討されておらず、実施に至っていない。本調査では、東京大学医学部附属病院精神神経科「こころのリスク外来」メール相談において実施された、前駆状態の可能性がある精神症状の簡易評価「PRIME-Screen日本語版」の回答結果を検討し、早期支援においてスクリーニングテストを活用する意義について検討を行った。 【方法】2014年5月~2016年9月にメール相談があり、PRIME-Screen日本語版への回答が得られた相談者を対象とした。スクリーニング陽性群・陰性群の年齢・性別・受診歴有無を示し、スクリーニングと診断結果を示した。 【結果・結論】対象者39名(平均年齢18.6歳、男性16名・女性23名)の内、スクリーニング陽性群は13名(33%)、陰性群は26名(67%)であった。スクリーニング陽性群のうち10名がこころのリスク外来を受診、うち3名が初回エピソード精神病状態または精神病状態へのリスク状態と診断された。陰性群のなかで、こころのリスク外来を受診した4名のうち1名、また当院一般外来を受診した5名のうち2名が初回エピソード精神病状態または精神病状態へのリスク状態(一般外来では統合失調症疑い)に該当した。相談内容について、スクリーニング陽性群では、主訴に何らかの「陽性症状」が含まれることが有意に多かった。PRIME-Screen日本語版は、精神病発症のリスク状態・精神的不調の程度を評価するツールとして限界を踏まえたうえで今後活用できる可能性がある。
  • 内野 敬
    2021 年 5 巻 1 号 p. 108-112
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
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