Japanese Journal of Endourology
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特集1:次世代につなげる画像誘導治療
蛍光ナビゲーションによる内視鏡手術
井上 啓史福原 秀雄執印 太郎倉林 睦降幡 睦夫渡邊 裕修谷村 正信
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2013 年 26 巻 2 号 p. 158-162

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抄録

  体内に投与され腫瘍に特異的に過剰集積した光感受性物質や蛍光物質に,特定波長の光を照射し励起すると蛍光を発光する.光化学反応によるこの現象を医療技術に応用したものが,光力学診断(photodynamic diagnosis(PDD))である.
  光感受性物質である5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid(ALA))よりミトコンドリア内で生合成される蛍光物質プロトポルフィリンⅨ(Protoporphyrin IX(PpⅨ))を青色可視光(375-445nm)で励起すると,赤色蛍光(600-740nm)を発光する.このALAを用いたPDD(ALA-PDD)は,膀胱癌や脳腫瘍の術中診断法として欧米では既に医療承認されており,現在日本でも高度医療(第3項先進医療)や医師主導治験など薬事申請に向けた取り組みを実施中である.
  また,蛍光物質であるインドシアニングリーン(Indocyanine Green(ICG))を近赤外光(ピーク波長805nm,750-810nm)で励起すると,より長波長の近赤外光(ピーク波長 835nm)を蛍光発光する.このICGを用いたPDD(ICG-PDD)は,乳癌・悪性黒色腫のセンチネルリンパ節の同定薬,心臓バイパス手術における血流評価など循環機能検査用薬として薬事承認を取得し,広く臨床使用されている.また,泌尿器科領域においても泌尿器科癌のリンパ節の同定や腎移植術における血流評価など臨床試験を試行中である.
  いずれのPDDも安全性に優れた疾患特異的な診断法であり,従来の診断さらには治療の精度向上が大いに期待できる.

Endoscopic surgery using fluorescence navigation

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© 2013 日本泌尿器内視鏡学会
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