2017 年 30 巻 1 号 p. 77-84
【目的】腹腔鏡下膀胱全摘除術(LRC:Laparoscopic Radical Cystectomy)は本邦でも普及しつつあるが,具体的な手技や周術期合併症,長期予後などの評価が十分得られていない.当施設における手術手技,治療成績を報告する.
【対象と方法】2003年3月から2016年3月までに施行したLRC 64例を対象とした.前期32例,後期32例に分け手術成績について比較検討も行った.
【結果】平均手術時間は449分,平均出血量は653mlであった.術後90日以内の合併症は81%にあり,Clavien分類グレードⅢ以上は25%にあった.前期と後期の比較では手術時間,出血量の改善が認められたが,合併症に関しては変わらなかった.3年,5年全生存率は79.3%,74.2%,3年,5年癌特異的生存率は79.3%,74.2%,3年,5年非再発生存率は68.6%,68.6%であった.
【結論】LRCは安全で有効な手術手技であり,治療成績も満足できるものと考える.