救急救命士が雇用される組織には,それぞれの職種における業務の専門性に応じた資格がある。消防機関の「救急隊員」,海上保安庁の「救急員」,そして自衛隊の「第一線救護衛生員」 といった資格であるが,医療機関に勤務する救急救命士には存在しない。今後,救急救命士が自律し,高度化した専門職を目指すにあたって,それぞれの職種に応じた専門化をすべきか,またはすべての救急救命士のさらなる高度化が必要なのか検討していく必要がある。医療従事者のなかでも,看護師はセミ・プロフェッションとして認知されていたが,現代ではプロフェッションとして認知され,近年でもその専門性の高度化に関する取り組みが行われている。そこで本稿は,セミ・プロフェッションであった看護師の専門性の高度化についてどのような制度を創設してきたのか,これまでの文献などを参考に概説し,今後の救急救命士の専門性と認定制度の検討課題について考察する。