2024 年 4 巻 2 号 p. 95-101
【目的】本研究の目的は,通信指令員が通報者とコミュニケーションを図る際に重要と考えられる共感度の客観的指標を作成し,信頼性と妥当性を検証することである。【方法】Hojatらによって開発された共感度を測定する尺度(JSPE)を通信指令員用に改変し,全国消防本部の通信指令員252名を対象に調査を行った。【結果】通信指令員用JSPE因子分析では,尺度全体のα係数は0.83で調査票の信頼性が高いことが判明し,各因子のα係数は,第一因子と第二因子ではそれぞれ0.83,0.80と高く,第三因子では0.56と低かった。通信指令員の共感度は平均97,標準偏差11であった。【考察】本研究で試作した調査票は,総合的な評価ツールとして利用できることが判明した。本研究においては通信指令員の共感度が低く,共感度を高めるトレーニングが必要と考えられる。【結語】今後,本調査票を用いてコミュニケーション能力を評価しつつ,共感力を高める通信指令員トレーニングを行うことが重要と考える。