日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
分娩を契機に急性増悪した肝硬変症の2例
清水 勝小林 成禎山内 治川瀬 光八郎渡辺 裕木全 崇之山田 昌夫山田 新尚笹岡 郁乎岩田 圭介
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キーワード: 肝硬変症, 分娩, 急性増悪
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1998 年 1 巻 2 号 p. 216-220

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抄録

分娩を契機に急性増悪した肝硬変症の2例を経験したので報告する。症例1:35歳,主婦,B型肝硬変症。■年■月■日,妊娠33週で帝王切開で分娩。分娩29日後黄疸と腹水で入院。安静と一般的肝庇護療法で改善した。改善後8.5年経過しているが,血清トランスアミナーゼは正常化,HBs抗原は消失,HBs抗体へseroconversionし,血清学的にはHBVキャリア状態は解消された。症例2:28歳,主婦,原発性胆汁性肝硬変症。■年■月■日帝王切開で分娩。分娩21日後黄疸で入院。PredonisoloneとUrusodeoxycholic acidの投与を行ったが無効。総ビリルビンは43.3mg/dlに達し,消化管出血,発熱を合併したので,生体部分肝移植を行い救命した。移植後1年を経過,黄疸を認めず通常の社会生活をしている。以上,肝硬変症患者の妊娠,分娩に対し注意が必要であると考える。

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© 1998 日本臨床救急医学会
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