「臓器の移植に関する法律」が施行され,脳死による臓器移植が可能となった。しかし,これに伴い組織移植医療に変化と問題が生じている。そこで,本法律施行に伴う組織移植医療の変化と問題点を提供する救急医療機関の立場から報告する。変化および問題点は①法律自体に組織移植の記述がない,②意思表示カードに組織の項目がない,③組織と臓器摘出の承諾書が別々に必要となった,④コーディネーションは治療を行ってきた救命救急センター側が行っている,⑤使用されなかった臓器から組織への提供ができない,⑥個別の組織バンクに対応できない可能性がある,などである。これらは,ガイドラインには組織移植が「許容される」と記載されたものの,本法律は「組織の移植については対象としておらず」,「特段の法令はない」との記載もあり,本法律自体で組織移植を保護していないことに起因する。したがって早期に組織移植が法律により明確に保護されることを切望する。