2007 年 10 巻 1 号 p. 71-75
症例は59歳男性。既往歴にアルカプトン尿症,慢性腎不全があった。右季肋部痛を主訴に当センターに搬送された。来院時は意識,循環および呼吸状態は安定しており,感染性腸炎の疑いで経過観察入院となった。しかし,翌日に意識レベルの低下を認め,血液検査では著明な代謝性アシドーシスおよびメトヘモグロビン(以下MetHbと略す)血症を示し,溶血による貧血が進行したため,全身管理目的に集中治療室に入室となった。入室後,輸血,メチレンブルー投与,持続血液透析および血漿交換療法を施行した。しかしMetHb血症および代謝性アシドーシスの進行を抑えられず,入室2日目に死亡した。病理解剖の結果,死因は敗血症であった。アルカプトン尿症はホモゲンチジン酸酸化酵素の欠損によって生じる先天性代謝異常である。本症例ではホモゲンチジン酸の蓄積がヘモグロビンに作用し,MetHb血症の原因となったと考えられた。