日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
不安定型骨盤骨折に対するTAE後に殿筋壊死・後腹膜感染をきたした一症例
本田 真広戸谷 昌樹藤田 基小田 泰崇鶴田 良介笠岡 俊志前川 剛志
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2007 年 10 巻 1 号 p. 65-70

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抄録

症例は41歳,男性。仕事中に倒木の下敷きになり,不安定型骨盤骨折,左横隔膜損傷,右大腿骨骨折の診断で当院救命救急センターに紹介搬送された。脈拍は大腿動脈でかろうじて触知可能であったがHb 2.7と低値で,大動脈遮断バルーンを使用し血圧を維持した。両側内腸骨動脈・右下横隔動脈に対しTAE,左横隔膜ヘルニア・腸間膜損傷に対し横隔膜・腸間膜修復術を施行した。脾門部付近からの出血に対してはガーゼパッキングを施行し,閉腹困難のためsilo closureとした。経過中,両側殿筋壊死・後腹膜感染をきたし,定型的筋膜閉鎖も困難であったが,徹底的なデブリードマンとドレナージ,メッシュによる腹壁閉鎖などによって救命できた。vacuum pack closureも困難な場合,メッシュによる腹壁閉鎖および全身状態安定後の筋皮弁による腹壁修復が有効であった。不安定型骨盤骨折に対する血管内塞栓術の合併症として殿筋壊死・後腹膜感染を考慮する必要があり,腹壁閉鎖についても腹部コンパートメント症候群に注意しつつ,できるだけ早期に施行する必要がある。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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