日本臨床救急医学会雑誌
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特集
東京都における初期救急医療体制
岸本 晃男
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2007 年 10 巻 3 号 p. 322-332

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抄録

東京都の初期・二次救急医療体制の現状を江戸川区の体制を例示して述べた。東京都区内には現在14の大学病院本院があり,公的病院も多く,全国の特定機能病院の17%が集中している。したがって三次救急施設は,他地区より充実しているが,そんな中でも日常発生している救急患者の多くは,初期・二次救急医療体制の中で処理されている。しかしこの初期・二次救急医療体制も医師や診療科目の遍在,患者ニーズの多様化,安全対策上の問題,さらに生活費が世界一高い東京での医療経営上の問題をかかえている。したがって日々の救急医療をささえている都内救急病院の維持が困難になってきた。一方,休日夜間医療は,都と共に地域医師会体制の中でも行われているが,マンパワー(特に小児専門),医療安全対策上の問題等課題が多く,これも二次救急医療の機能麻痺に直結する。初期医療・二次救急医療体制は,機能の分担を再検討した上で,その連携を密にしなければならない。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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