日本臨床救急医学会雑誌
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特集
小児科から見た二次救急医療体制の提案
〈北九州方式を中心として〉
市川 光太郎
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2007 年 10 巻 3 号 p. 336-341

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抄録

小児救急医療提供体制はマンパワー不足を中心に社会問題化しているが,その質の観点では,総合診療としての小児救急医療が提供されるべきである。すなわち,小児救急疾患が単なるbiomorbidityからco‐morbiditiesに変わってきたこととも相まって,心身両面での診療が求められ,そこに専門医志向が昂揚する理由がある。事故外傷を含めての総合診療は育児支援の大きな柱と考えられる。地域の救命救急センターにおいて,各救急診療科医との連携を強め,小児科医を中心としての診療体制を組むことが総合診療の基本となり,一次~三次医療一体化施設として地域の中心的役割を担うべきであろう。そこには地域の二次救急医療体制を構成する医療資源との協働体制が必要である。このような医療資源をともに育み,充実させるためには,いかに地域住民の理解を得ていくかが重要となる。いずれにせよ,小児救急医療が小児内科医単独で行い得るものではなく,事故外傷の子ども達への対応を含め,境界疾患の対応が可能な他科医の連携が不可欠であり,いかに地域二次救急医療体制と融合して,その医療資源をともに活用して,質の向上を図るかが今後の課題であろう。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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