救急車の出場件数は年々増加傾向にあり,救急救命士の精神的,肉体的疲労も増加していると考えられる。救急救命士の健康に関する調査は少なく,その実態も十分に把握できていない。鳥取県西部広域行政管理組合消防局の救急救命士37人の健康状態について間診,血圧測定,フリッカーテストを行い,さらにストレス,疲労,生活習慣について質問票による調査を行った。その結果を一般的労働者に対する大規模調査の結果と比較したところ,ストレスは大きいが上司などの支援を得て職務満足感は高く,短期疲労では眠気感の訴えが多く,蓄積疲労では一般的疲労,身体不調,抑鬱の傾向があった。本調査は鳥取大学医学部の協力を得て行った。今後も救急救命士自らが自己の健康に関心をもち,外部機関の協力を得て健康に関する調査を行い,その結果により健康管理や健康指導,勤務状況の改善を行うことが質の高い救急行政サービスを行ううえで重要である。