日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
患者からの暴力的行為や脅迫が看護師に与える影響
石島 彌生塩見 直子澤田 喜代子阪本 敏久岡田 芳明
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2007 年 10 巻 5 号 p. 499-503

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抄録

救命救急センターの入院患者から看護師が被害を受けることもある。その実態を調査し,今後よい労働環境を確立するための基礎とすることを本研究の目的とした。

方法:当病棟勤務の看護師15名に選択肢式と記述式の質問調査を実施した。結果:総恐怖体験数は51件で,1人当たり平均3.3件の体験があった。40件(78.4%)が精神疾患を有する患者からであった。恐怖を感じた行動内容は,暴力・暴言,無断離院といったものが主体で,四肢・体幹の抑制帯の使用時が半数以上で,個室,夜勤帯に頻度が高かった。点滴用のポールなどが凶器と化した件数も8件あった。身体面に生じる症状は6.7~13.3%と比較的少数であった。心理面の症状は60.0~ 93.0%ときわめて多く存在した。対処法としては,看護体制の整備・看護師のメンタルケアのためのカウンセリングシステムの確立・カンファレンスなどでの情報交換の場を活用することが挙げられた。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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