2008 年 11 巻 4 号 p. 377-384
2001年の「救急業務高度化推進委員会報告書」に基づいて実施されている救急救命士の生涯研修のための病院実習の実態を,全国の消防本部に所属する救急救命士を対象としたアンケートにより調査した。1,622通の郵送アンケートに対して92.2%の有効回答が得られた。規定の実習時間に達していたのは56.2%で,決められた実習が履行できなかった理由の54%は,消防署内で人のやりくりがつかないためであった。実習の主たる指導者が救急医の割合は46%で,全体の20.4%は病院の看護師に主に指導を受けていた。実習の30.5%は,あらかじめカリキュラムを定めずに行われており,年間を通したカリキュラムがあったのは21.5%であった。実習内容では,救急患者初療の見学や蘇生介助がそれぞれ94%,88%と高率に経験されているのに対して,実技を伴う初療補助や処置補助は69%,47%と経験率が低かった。