2008 年 11 巻 4 号 p. 392-398
当科において高圧酸素療法(HBO)を施行した急性一酸化炭素(CO)中毒症例の転帰を調査した。対象:2001年1月~2006年4月の5年間に当科でHBOを施行した急性CO中毒症例13例。方法:診療録をもとに,患者背景,受傷機転,来院経路,来院時および治療後のCO-Hb値や意識状態,画像検査,併存症や合併症の有無を調査し,さらに電話による聞き取り調査により退院後の転帰を調査した。結果:平均年齢45.5± 15.7歳,男:女=9:4,当院来院時の平均CO-Hb値13.6%,意識障害合併率61.5%であった。第1回HBOによりCO‐Hb値は全例正常化し,意識障害が存在した8例中7例は第3回HBO終了時までに意識清明となった。13例中1例に重度機能障害が生じ,12例は後遺症なく退院または転院していた。転帰調査では7名から回答が得られ,自殺再企図による死亡および一時的な後遺症自覚者が各1名ずつ認められた。残りの5名は後遺症を認めなかった。結論:HBOは有効であるという印象を受けたが,客観的な評価方法の導入や他施設との連携強化など,退院後の評価体制を強化し再評価する必要がある。