日本臨床救急医学会雑誌
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臨床経験
研修医を対象とした救急診療権認定システムの卒後臨床研修における意義と問題点
武内 有城井口 光孝園 真廉水野 泰志加藤 諭美羽切 正代横山 友恵西岡 弘晶草深 裕光
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2008 年 11 巻 4 号 p. 399-406

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抄録

当院は1997年より救急医療における研修医の達成度を評価し,単独の診療を許可するシステムを「救急診療権」と称して実施してきた。2003年より,翌年の卒後臨床研修の必修化に対応するカリキュラムに変更し,診療経験に加えて実技認定,OSCE(Objective Structured Clinical Examination)やシミュレーションを用いた評価を行っている。今回,当院の救急診療権認定システムについて検討するため,研修医41名および指導医21名,救急外来担当看護師13名にアンケート調査を行った。研修医へは2004年と2006年の2回行い,満足度は78.3%,68.8%で,指導法と評価方法の改善,サポート体制の充実が必要との意見であった。指導医の90.5%は卒後研修に有用との意見であったが,看護師からは診療への不安,指導体制の不備が指摘された。研修医が救急医療の現場でモチベーションを高め,プライマリーケア能力を修得するためには,適切な指導体制だけでなく,研修医個々の診療能力に応じた単独診療の許可とバックアップ体制の充実が重要である。

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© 2008 日本臨床救急医学会
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