日本臨床救急医学会雑誌
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原著
複数救急救命士により構成される救急隊の病院前救護活動への効果
岩下 具美江津 篤望月 勝徳北村 真友菊池 忠岡元 和文
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2009 年 12 巻 1 号 p. 25-30

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抄録

目的:救急救命士(以下,救命士と略す)の増加に伴い,救命士2人以上の搭乗による救急搬送も可能となった。そこで,「複数救命士による病院前救護は,特定行為実施率・成功率を上昇させ,蘇生率も向上させる」と仮説をたて後視的に検討した。方法:松本広域で平成17-18年に発症した院外心肺停止711例を対象とした。搬送記録から特定行為実施率/成功率・蘇生率について,救命士1人搭乗(I群)と複数搭乗(Ⅱ群)で比較した。結果:特定行為実施率/成功率は,器具を用いた気道確保はⅠ群50%/81%,Ⅱ群63%/89%,静脈路確保はⅠ群19%/55%,Ⅱ群45%/62%で,実施率はⅡ群において双方で有意に高く,成功率は気道確保のみ有意差を認めた。心拍再開率は,Ⅰ群279%,Ⅱ群30.3%であった。結論:複数救命士による病院前救護活動は,特定行為実施率と気道確保成功率を高めたが,心拍再開率は統計学的な差には至らなかった。今後の薬剤投与認定救命士増加に伴い,静脈路確保技能の改善が課題と考えられた。

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© 2009 日本臨床救急医学会
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