日本臨床救急医学会雑誌
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原著
救急隊員のCPRの質を向上させるためのトレーニング方法の検討
安田 康晴加藤 義則
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キーワード: Quality of CPR, CPR Training, PESTS
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2009 年 12 巻 3 号 p. 299-305

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抄録

ガイドライン2005では良質のCPRが強調され,救急隊員教育においてもCPRの質の向上に対する認識が高まった。しかし救急隊員121名を対象に胸骨圧迫の質を測定した結果,胸骨圧迫成功率は60.6±34.5%であり,従来から行われているCPRトレーニング方法では質の高い胸骨圧迫が行えていないことが判明したことから,新しいCPRトレーニング方法について検討した。対象は救急救命士養成課程の救急隊員75名で,方法はすべての被験者がはじめに2分間バッグバルブマスク換気と胸骨圧迫を測定し(Base Line群),その後胸骨圧迫の深さやリズム,換気の量や速さなどを客観的にリアルタイムで,かつ結果を定量的にフイードバックする方法(Personal computer Evaluation Skill Training:PEST)によるトレーニングを行い,再度2分間バッグバルブマスク換気と胸骨圧迫について測定した(PESTS群)。換気成功率は,Base Line群が28.3±27.5%,PESTS群が42.6±31.1%,胸骨圧迫成功率は,Base Line群が60.6± 34.5%,PESTS群が92.6±14.0%と,換気・胸骨圧迫ともPESTS群が有意に成功率が高かった(p<0.05)。従来から行われている指導者による評価表を用いたトレーニング方法では,十分にCPRの質を向上させることができていなかったが,PESTは短時間でCPRの質を向上させることができた。

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© 2009 日本臨床救急医学会
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