日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
原著
東京都における高齢者熱中症患者重症化の特徴と背景因子
東 栄一木下 浩作山口 順子古川 力丸野田 彰浩向山 剛生櫻井 淳雅楽川 聡大井田 隆丹正 勝久
著者情報
キーワード: 熱中症, 高齢者, 重症度, 予防
ジャーナル フリー

2009 年 12 巻 3 号 p. 306-311

詳細
抄録

高齢者熱中症患者の重症度と関係する病院前での因子を明らかにする。平成17年に東京消防庁管下で救急搬送され,初診時に「熱中症」と診断された患者1,041名を対象とした。患者発生場所は,加齢とともに室内での発生割合が増加した。70歳以上の高齢者は約23%で,高齢者夫婦のみの世帯もしくは高齢者独居世帯が約64%を占めた。初診程度と関連する病院前での因子として,発生場所,脈拍異常および高齢者か否かについて評価すると,全年齢層では①高齢②頻脈である傷病者は,初診程度が「中等症・重症・重篤」になる確率が有意(p<0.0001)に高いことが明らかになった。一方,高齢者の初診程度が「中等症・重症・重篤」となる病院前での予測因子として,高齢者世帯,室内発症(p<0.0001),頻脈(p<0.0017)で有意に発症確率が高い。都市部における高齢者熱中症患者の重症化防止には,定期的な高齢者単独世帯への訪間が有効であると考えられた。

著者関連情報
© 2009 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top