当院で経験した特発性縦隔気腫の2症例について,文献的考察を加え報告する。症例1は20歳のやせ型の男性。キャンプファイヤーで大声を張り上げていたところ左頬部腫脹を認め来院する。症例2は16歳のやせ型の男性。バレーボール練習後から続く呼吸困難と,受診日当日から明らかになった右頸部違和感を主訴に来院する。両症例とも皮下気腫を認め,胸部単純X線検査と胸部CT検査で縦隔気腫を確認した。保存的治療を行い,両症例とも軽快した。現在再発を認めていない。日常診療において本症の発生頻度は低いが,突発性の胸背部痛や皮下気腫を伴う若年男性を診た場合,鑑別診断として特発性縦隔気腫を念頭におく必要があると思われた。