2009 年 12 巻 5 号 p. 516-519
軽症患者のいわゆる「コンビニ受診」を抑制するために,選定療養(時間外診療)による保険外負担を徴収する医療機関が現れてきた。しかし,軽症患者の受診抑制に限らず,緊急を要する重症患者の受診が抑制されてしまう危険性も否定できない。そこで,200床以上の国公立病院について,保険外負担の徴収前後における時間外受診数の変化について検討を行った。保険外負担徴収後の各月期の受診数(中央値)は,徴収前の80%(外来),98%(入院)であった。統計学的には,外来の受診が有意に減少したが,入院では有意な減少は認められなかった。しかし,現時点ではこうした制度を導入した施設数は少なく,今後さらなる検討が必要である。