日本臨床救急医学会雑誌
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原著
急性薬物中毒患者の重症度判定と病院前トリアージ案の検討
一二三 亨大友 康裕吉岡 早戸山口 順子石堂 志直本間 正人
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2009 年 12 巻 6 号 p. 543-547

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抄録

急性薬物中毒患者に対し,救急隊の現場における医療機関選定に関する病院前トリアージ案を作成するために,後ろ向きに救急隊現着時の傷病者の意識レベル,服薬内容および服薬総量,治療内容として気管挿管,血液浄化療法の有無について検討した。2004年1月1日から2004年10月30日まで救命救急センター入院(3次対応)となった患者2,044名のうち,医薬品による急性薬物中毒患者数は162名(79%)であった。救急隊現着時,意識レベルがJCS Ⅱ桁以下で,かつ服薬総量50錠未満では,救命処置としての気管挿管を要する傷病者は,わずか(60名中2名)であり,血液浄化療法を必要とした症例はなかった。今回の検討によりわれわれは,救急隊現着時,医薬品による急性薬物中毒と判断された傷病者の意識レベル,服薬内容の危険薬物の有無に加えて,服薬錠数が50錠未満かどうかにより搬送先の選定を考慮するというトリアージ案を提案する。

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© 2009 日本臨床救急医学会
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